導入事例

2022/05/25

イマジニア、キュービック、nendが語る、SKAdNetworkの導入について

イマジニア株式会社 執行役員 コンテンツ事業本部 プロモーション戦略室 室長
河野 淳一
2007年にイマジニア入社。プロモーション業務を担当。
学生時代は水球部。
最近ハマっていること:缶蹴り
出身:広島
好きな食べ物:ポン酢
株式会社キュービック 代表取締役
小池 徹
2007年にDeNAへ新卒として入社し、営業・新規事業・広報に従事。ベンチャーを経て、2016年にキュービック創業。
最近ハマっていること:サウナ、ジン集め
出身:名古屋
好きな食べ物:ハンバーグ、カレーライス
株式会社ファンコミュニケーションズ ADプラットフォーム事業部 営業推進部長
牛窪 道久
入社以来、アドネットワーク『nend』の営業一筋。
これまでにゲーム・非ゲーム問わず、数多くの広告主様のプロモーションを担当。
最近ハマっていること:焼肉屋めぐり
出身:川越
好きな食べ物:川越産さつまいも、川越銘菓「小江戸の心」

イマジニア様には、代理店のキュービック様経由でnendをご利用いただいております。
今回はそんな2社に広告主として、代理店としてそれぞれの立場からSKAdNetworkの導入についてお伺いしていきます。

SKAdNetworkの対応状況について

– 早速ですがSKAdNetwork(以下、SKAN)についての考えや対応状況などを聞かせてください。

牛窪:はい、SKAN以前からスマートフォンにおけるプライバシー保護の機運は高まってきていたので、広告IDを活用したマーケティングが厳しくなってくることは意識していました。
nendではこれまでもAppleさんの方針に沿って、随時プロダクトをアップデートしていましたが、SKANに関しても同様にいち早く対応しました。現場メンバーもSKAN関連の情報を敏感にキャッチアップしており、SKAN計測のお客様も増えてきている状況です。

– 国内でもnendが先陣を切って対応しましたよね。広告主としてイマジニア様ではどういった対応をしていましたか?

SKAN対応について語るイマジニア河野様

河野様(以下、河野):ゴールは全体の売り上げ、利益の最大化なので、ROASだけに特化した運用を元々しておらず、ごく一部の変化と捉えています。ですが、プライバシー重視の風潮は今後も継続的に続いていくだろうと思っているので、それに対応していくのは自然な動きですよね。ユーザーのプライバシーを保護しつつ、アプリ運営に必要な情報を獲得していくためにはSKANを活用していく必要があると思っています。
イマジニアでは2021年5月から、インストール数はSKANの数値を正として、課金は推定ROASで算出しています。

– 全体の収益の最大化とプライバシー保護を両立させていく中で、SKANへの対応は当然必要になってくるということですね。

河野:そうですね、実際の対応に関してはキュービックさんでも研究されて対応いただけるということだったので、お願いしているという感じですね。

SKAN対応について語るキュービック小池様

小池様(以下、小池):僕たちも、プライバシー保護が重要視されるこの時代において、デジタルマーケティングは必ずしも計測可能なプロモーション手法だけではないと思っています。
とはいえ代理店として、SKANの対応は非常に重要だと考えており、2021年5月に対応をしました。計測手法や運用手法に関しても適宜工夫、アップデートをしています。
ですが、業界的には広告効果計測ツール(以下、MMP)と併用してどちらかの数値を偏重したり、もしくはバランスを見つつ、かけ合わせや推定値を使いながら、より確からしい計測数値をシミュレーションしたりと、まだまだ手探りの状態ですよね。

SKAdNetworkのメリット、デメリットとは?

– SKANのメリット、デメリットはどういったことがあるのでしょうか?

SKANのメリットについて語るnend牛窪

牛窪:現状だとメリットは少ないと言えるかもしれません。広告IDが使えなくなる風潮ではあるものの、MMPで計測ができているからです。
ただ、おそらく将来的にはコンバージョン(以下、CV)を推定することが難しくなってくるので、その時にSKANの設計が整っているか整っていないかで、すごく差が出るだろうと思います。そうしたリスクに先手を打っておけることが、まずメリットですね。
あとは、今MMP計測で起きてしまっているアトリビューションの違いを是正できる点です。現状は広告ネットワーク各社によって計測の定義にかなりの差があるので、本質的とは言えません。今後Appleさんが管理、統制することで、同じ基準でネットワーク評価ができるメリットはかなり大きいと思っています。

小池:ATTの許諾率が約30%という数値を見ても、MMP計測だけでの運用が厳しくなっていくとわかりますよね。その中でSKAN計測運用というのは、日に日に重要性が増していると感じます。

牛窪:そうですよね、広告主様のアプリでトラッキングの許諾率を上げたとしても、nendなど広告ネットワークをご利用のメディア様側の許諾率が低かったら元も子もないので、難易度はやっぱり高いですね。自社だけで解決できないというか。

河野:コントロールできないですよね。

牛窪:そうなんですよね、トラッキング許諾率の傾向はアプリのカテゴリーによって異なり、特にゲームカテゴリの攻略難易度は相当高いので、SKAN計測にシフトしていくことは必須なのかなと思います。

– なるほど。反対にデメリットというのも大きいですよね?例えば、初回起動後のカットオフを24時間に設定した場合、24時間以降のユーザーアクティビティを追うことができないので 正確なLTVがわからないというのは厳しいですよね。

河野:まあ、そこが主なデメリットですよね。獲得ユーザーの行動情報が制限されているので、運用がしにくいです。Android側の数字を参考に、iOSも似た動きをするだろうという想定で、統計的に仮置きしてやるしかないですよね。
精度は落ちますが、対応は可能なレベルかなという感覚ですね。

– その他のデメリットについてはいかがですか。

牛窪:一つは、リアルタイムに数値を追えないことです。そして、もう一つの大きなデメリットはweb面の計測ができないことですね。
日本はwebの文化が根強く、webのトラフィックが巨大なので、そこでの計測ができないというのは厳しいですよね。
だからこそ、早い段階から導入、調整して自社に合った運用モデルを固めていくことをおすすめしています。

– ありがとうございます。イマジニア様はSKAN提案後、すぐに導入しましょうという感じでしたが、いまだSKAN対応できてない広告主様って多いですよね。

牛窪:とても多いですね。8割くらい。広告ネットワークの中でもSKANに対応しているネットワークと、非対応のネットワークが混在しているので、横並びの評価が難しく、はっきりとした評価軸を設けられずに困っている広告主様も多い印象です。

– まだSKANに関する情報も少ない中で、どうやって移行すれば良いのかさえもなかなか分からないですよね。

牛窪:そうですね、あとはMMPとSKANの並行評価の難易度も高いです。MMPの数値とSKANの数値は、まったく別ものになるので、重複CVもかなり多いはずです。ここの評価を上手くできている会社さんは、世界的に見てもとても少ないかと思います。

今こそアドネットワークを使いたかった

– ではここからは、具体的に実装後のエピソードをお聞きしたいなと思います。

イマジニア社のSKAN導入の経緯を語るキュービック小池様とnend牛窪

小池:ちょうど1年くらい前に、弊社からご提案させてもらいましたよね。
当初はFacebookなどのSNS系中心の広告配信で、SKANに対応しているアドネットワークがなくて困っていたところに、nendさんがSKAN対応していると聞き、牛窪さんと連携させていただいたということが背景としてありました。

牛窪:イマジニア様はnendで1社目のSKAN導入広告主様なんですよね!
世界的に見てもSKAN対応のアドネットワークってとても少ないですが、そんな中でキュービック様のご協力のもとイマジニア様が1社目になってくださって、すごく嬉しかったのを覚えています。

河野:僕としては、データ配信に強いネットワークが相対的に力を発揮しにくくなるタームに入ったなと思っていて、nendさんみたいな個別に様々な配信面に入札、配信できるところを使いたかったというのはあります。要はこの商品売るんだったら、こういうユーザーの多い、この配信面に広告出したら良いよねっていうような考え方って、めちゃくちゃ当たり前なマーケティング思考じゃないですか。

– 結果、海外大手の広告ネットワークよりも効果が良好で、一時期、nendが広告配信の約70%を占めていましたよね。運用はどのように行っていたんですか?

河野:はい、かなりnendさんに配信しましたよね。SKANなので正確なLTVは追えないですが、継続率やアプリ内での数値なども含めて、全体に対する効果はあるなという印象があったので、強化してOKという判断になりました。

小池:運用時には、インストール数はSKAN数値を正とし、速報値としてMMPの数値やネットワークの管理画面を活用しています。
nendさんのカスタムダッシュボードはとても見やすいので助かっています!
ROASは推定ROASを算出して判断していますが、オーガニック込みの全体獲得状況も見つつ、出稿を調整しています。

牛窪:ダッシュボードはプレリリースという形でキュービック様に先行して解放させていただきました。今後、広告主・代理店のみなさんが情報をより見やすいような形に変更し、全体へ提供していければと考えております。

– この記事を見てSKANを始めたいと思う広告主様も多いと思うんですけど、導入時に注意した方がいいことってありますか?

牛窪:やっぱりコンバージョンバリューのマッピング設定ですね。
僕たちは「コンバージョンバリューを制するものが、iOSマーケを制する」という気持ちでやってます(笑)
というのも、SKAN計測においても設定をきちんとすれば、ある程度LTVを追うことができるようになってきています。さらに1度設定して終わりではなく、何度か数値を見て、改善して、、という風に調整ができれば、追うべき数値が可視化できて、配信枠毎にユーザー分析が可能です。nendではそういった運用サポートや機能をさらに強化していきたいと思っているので、ぜひご相談いただきたいです。

今後について

– アプリプロモーションや広告計測についてどういった未来を描いているのか、今後の方針と合わせてそれぞれお聞かせください。

今後のアプリプロモーションについて語るイマジニア河野様、キュービック小池様、nend牛窪

牛窪:デジタルマーケティングに関しては、特に欧米が進んでいて、現地のトレンドが2~3年後に日本にやってくるという傾向があるので、日本でもSKANがどんどん普及していくだろうと思っています。
それと同時に、広告運用の複雑さや難易度は上がってくるので、今の段階で、新しい方程式を確立しようとしている会社さんの優位性は高くなっていくんじゃないかなと思います。
僕たちnendもそうした会社さんをお手伝いできるように、プライバシー保護をサービス構築のひとつの軸として、SKAN関連の機能やコンサルティングをどんどん提供できればと思っています。少ない情報の中でいかに効率よく広告配信ができるか、いかに最大限スケールできるか、長年の実績をもとに最適な配信先とマッチングする土台をつくっていきます。

小池:SKANのプロモーションというのはまだまだ余地があるので、キュービックとしても啓蒙、拡販していけたらいいなと思っていますね。まだまだ多くのデベロッパーさんがSKANを有効活用できていないという中で、SKAN計測を的確に用いたプロモーションだけでなく、ソーシャルメディアや認知系施策を含む、総合的なマーケティング提案をしていきたいと思っています。

– イマジニア様はいかがですか。

今後について語るイマジニア河野様

河野:計測のところは、どんな未来が来たとしても基本的には広告業界の皆さんの責任範囲。広告主がすることは環境が変わった時に、その変化に対応する仕組みや方針をその都度きちんと整理することなのかなと思っています。
そこで何が大事かというとお客さんを理解することですよね。どんなお客様なのかな、何に喜んで下さっているのかな、もっと喜んでもらうためにはどんな良いサービス、商品を提供すればいいのかなというところ、そこを磨いて行くことが最終的に勝ちにつながっていくと思っているので、そこはぶれずにやっていければいいかなと思っています。

今回取材したお客さま

イマジニア株式会社

1986年設立。キャラクター、教育、ゲームなど幅広いジャンルでコンテンツ事業を行う。
キャラクターのアプリゲームの配信やNintendo Switch「Fit Boxing」シリーズを中心としたパッケージゲームを展開。

今回取材したお客さま

株式会社キュービック

2016年設立。インターネット広告代理事業、インターネットサービス開発事業を行う。
広告戦略の立案から運用・効果検証、コンサルティング、クリエイティブ制作など、クライアント企業のマーケティングパートナーとして総合的なソリューションを提供する。

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