【初心者向け】ポイント解説!SKAdNetworkまとめ
今回はSKAdNetwork(エスケー・アドネットワーク)について、基本的な知識や背景、活用する上でのメリットやデメリットなどをまとめます。この記事を読めば、SKAdNetworkのポイントを一気に整理できますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次
SKAdNetworkとは?
SKAdNetworkとは、AppleがiOS/iPadOS/tvOSのアプリデベロッパー向けに提供する、広告効果を計測するためのソリューションです。
SKA(エスケエー)やSKAD(エスケーアド)などの略称が使われることもありましたが、SKAN(スキャン)と表記、呼称されることが増えてきました。
プライバシー保護を重視したものとなっており、IDFAなどの端末を特定するデータを使わずに広告効果の計測ができます。
計測できるのは、AppleからアドネットワークIDを付与され、技術的にSKAdNetwork配信に対応したネットワーク(Facebook/TikTokなどアプリ単体の場合も含む)のみです。現在、広告SDKを提供するグローバルのネットワークやSANs(※1)と呼ばれるネットワーク各社は一部を除きほぼ全てが対応済みで、SKAdNetworkのみでの広告効果計測を推進しているところが多い印象です。
AppleはSKAdNetworkに特化したレポート画面を提供していないので、マーケティング用の効果分析をするためには、SKAdNetworkのCVポストバックを反映したレポートを別途用意する必要があります。
※1 SANs
Self Attributing Networksの略称。MMPなどに帰属せず、独立してアトリビューションを計測するネットワークなどの総称。(Google、Meta、Twitter、ASA、TikTokなど)
SKAdNetworkが登場した背景は?
SKAdNetworkが注目されるようになったきっかけのひとつに、2021年4月、iOS/iPadOS 14.5以降の端末において、IDFAなどの端末を特定するデータを取得する場合にはATT(AppTrackingTransparency)フレームワークを通してユーザーの許諾を得るプロセスが必須となったことが挙げられます。
このIDFA取得時のATT必須化により、これまでのようなIDFAを活用した広告効果計測ができるのは、ユーザーがオプトイン(※2)した場合のみとなりました。そのため、それ以外のオプトインしないユーザーに対して、新しい広告効果計測手法が必要になりました。
プライバシー重視の風潮が世界的に高まっている中で、Appleは今後もプライバシー保護の水準を高める姿勢を前面に打ち出しています。
こうした背景から、IDFAなどの端末を特定するデータを使用せずに、プライバシー保護を考慮しながら広告の効果計測ができるSKAdNetworkが、近年注目されるようになりました。
※2 オプトイン
この場合、IDFAを取得した広告トラッキングを許諾すること。オプトインしたユーザーの割合はオプトイン率。
基本の仕組み
SKAdNetworkの仕様は「SKAdNetworkとは?今知っておくべき基礎知識」の記事でも例を交えて説明していますので、そちらも合わせて読んでみてください。
ここではポイントを押さえて説明していきます。
計測範囲はアプリのみ(2022年8月現在)
現在、SKAdNetworkで広告効果計測ができるのはアプリの配信面のみです。しかしAppleは、先日のWWDC22(Appleの世界開発者会議、2022年6月)においてSKAdNetworkをweb配信面にも適用していく方針を表明しています。
ポストバックは1回のみ(2022年8月現在)
SKAdNetworkではコンバージョンバリューが更新されずに24時間経過したタイミングで1回だけポストバックが行われます。こちらに関してもWWDC22で、ポストバック回数を3回まで増やす仕組みが発表されました。
ポストバックに不規則なタイムラグが必ず発生する
ユーザーの特定を防ぐため、ポストバックにはタイムラグがランダムに発生するしくみになっています。リアルタイムでの効果の確認はできません。
ポストバックできるのは限定的な情報のみ
ポストバックで得られる情報は以下の通りです。
その中でもコンバージョンバリューは、0~63の値をイベントに紐づけることでインストール後のユーザー行動の計測が可能になるため、重要な項目です。(コンバージョンバリューについて詳しい内容はこちらをご参照ください。)
- version : SKAdNetworkのバージョン
- ad-network-id : 広告ネットワークのID
- transaction-id : トランザクションID
- campaign-id : 広告キャンペーンID
- app-id : 広告主アプリID
- attribution-signature : アトリビューション署名
- redownload : 再ダウンロード/新規ダウンロード
- source-app-id : 広告配信面のアプリID
- fidelity-type : ビュースルー/クリックスルー
- conversion-value : コンバージョンバリュー
- did-win : アトリビューションの勝敗
簡単に利用可能だが、SKAdNetworkに特化したレポート機能はない
導入にあたっては、従来のMMP計測SDKがなくても簡単に利用可能です。計測するための特別な料金もかかりません。
現在、AppleはSKAdNetworkに特化したプロモーション用の管理画面を提供していません。アプリデベロッパー様自身での管理もできる環境にはなっていますが、コスト面等を考えると、各種ツールやネットワークが提供するレポーティングの機能を利用することをおすすめします。
メリットとデメリットは?
メリットはなんといってもユーザープライバシーとプロモーションの両立ができるという点です。昨今、ユーザーのプライバシー意識はますます高まり、プライバシーに関する法規制も整備されてきている中で、時代に即した広告計測方法と言えるのではないでしょうか。
また、これまで各ネットワークに委ねられていた広告指標の基準(特にビューの定義やクリックの定義)がAppleによって統制され、同じ条件で複数ネットワークの広告効果分析ができるという点もメリットといえます。
一方でデメリットは、ポストバックのタイムラグや取得できる情報の少なさがあります。これは、ユーザープライバシーを担保するためには仕方ないところとも言えます。しかし、工夫次第ではデメリットを軽減することが可能です。こちらに関しては、また別の機会に詳しくご紹介しますね。
・ユーザープライバシーを考慮した広告配信が可能
・公正な基準で広告効果計測ができる
■デメリット
・ポストバックがリアルタイムではない
・ポストバックの情報が多くない
nendの最新事例
nendではSKAdNetworkを活用したプロモーションの事例が増えてきています。(事例インタビュー)
ここでは一部をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
その他の業種やもっと詳しい事例が知りたい方は、お気軽にお問合せください。

まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、SKAdNetworkについてまとめてみました。
SKAdNetwork関連の情報はまだまだ少ない上に、分散しており、情報収集も容易ではありません。
nendでは今後もSKAdNetworkに関する知見やトピックをお伝えしていきます!
また、nendにはSKAdNetwork専門のチームがあり、導入から運用までしっかりとサポートしますので、ご興味がある方はお気軽にお問合せください。