ノウハウ

2019/05/24

SpiderAF×nend アドフラウド緊急対談!
広告費を奪い取る不正な手口や現状、対策までをたっぷりご紹介!

AI搭載のアドフラウド対策ツール『SpiderAF』を提供しながら、勉強会の開催やホワイトペーパーの発行など、アドフラウドについての情報発信にも積極的な株式会社Phybbit様。
SpiderAFは莫大なデータを自動で解析してアドフラウド検知できる便利なツールで、nendでもメディアの不正チェック、健全化のために導入し、Phybbit様とも情報交換や機能の提案など、普段から密にやり取りをさせていただいています。近年、早急な対応が迫られているアドフラウドの驚きの実態や対策について、インタビュアーを交代しながらじっくり対談しました!

株式会社Phybbitとnendの対談記事キービジュアル画像

対談者紹介

大月 聡子 様 (写真左)

株式会社Phybbit CEO
Phybbitのグローバル営業 & IR担当。あまり敵を作らないようにするのがモットー。プライベートは2児の子育てに奮闘中。

橋本 咲彩 様 (写真中央)

株式会社Phybbit PR・マーケティング
SpiderAFやアドフラウドを広めること全般を担当。最近は夏に向けてジムに通い、体脂肪率が下がることに喜びを感じている。

アドフラウドの基礎知識をおさらい

まずはnendから質問していきますね。最近よく耳にするようになったアドフラウドですが、どういったものか改めて教えていただけますか。

 

橋本様(以下、橋本):アドフラウド、広告詐欺とは不正な手法を使って広告の表示・クリック・コンバージョン(以下、CV)を水増しして広告報酬を搾取するものです。

日本ではどのくらい横行しているのでしょうか?

橋本:弊社で解析した去年1年間の総データをまとめた調査レポートを今年1月に発表したのですが、広告経由のインストールのうち、20.7%がアドフラウドの被害に遭っていました。
手口も年々巧妙化、高度化してきています。アドフラウドのアクセス元を1年前と比較すると、海外のIPアドレスが全体の4割から1割まで減少していました。これは日本で不正をする人が増えたという訳ではありません。アドフラウドとすぐにばれないよう、日本のIPアドレスを踏み台にして不正を働くケースが出現したのです。アクセス元だけでは判断が難しくなってきているので、データを多面的に見てアドフラウドを判定する必要があります。

大月様(以下、大月):しかも一部のネットワークだけをターゲットに、不正をしていることもあります。他のネットワーク上では一般のユーザーさんの自然な動きしか見られないので、不正をカモフラージュすることができるのです。全てのネットワークで不正があればIPアドレスごと停止もできますが、そうじゃないのでなかなか難しいです。

普通のユーザーさんに上手く紛れて混在させる手口が多くなってきてるんですね。
ちなみにアドフラウドの種類についてはいかがですか?

アドフラウドの種類を語るPhybbit橋本氏

橋本:弊社では大きく3つに分けてます。ファームとクリックフローディングとインストールハイジャックです。
まずファームは、いわゆる大量に端末を並べた「農場」と言われる状態で、システム化されたbotやオペレーターによって広告の表示やクリックを繰り返し、不正に広告の収入を得る手法です。最近ではアプリ広告のリテンションやアプリ内課金を偽装するケースもあります。このような端末はbotを使うためにジェイルブレイクやroot化(※)してしまっているので、もうOSのバージョンを更新できません。

※ ジェイルブレイク/root化
OSで設定された権限制限が解除された状態、もしくはそのための行為。これによってAppleやGoogleが認めていないアプリのインストールや禁止機能の利用が可能になる。

だからアドフラウドの端末はOSがずっと古いままなんですね!

橋本:そうなんです。次にクリックフローディングですが、実際には表示やクリックしていない広告を、洪水のようにたくさん表示、クリックしたように偽装する手法です。これは一般のユーザーさんの端末が被害に遭うために見分けにくく、「オーガニック喰い」とも言われています。

ユーザーさんは広告を見てさえいないんですね。

大月:そうです、そんな風に広告主様の広告費が使われることは防ぎたいし、広告効果が正しく評価がされないのも良くないですよね。

橋本:最後はインストールハイジャックというもので、端末に入り込んだマルウェアが広告の表示やクリック、インストールを勝手に行う手法です。Androidデバイスやアプリ広告に多く見受けられます。
この手法は最近では減ってきていて、今回の調査ではファームが一番多かったですね。

 

■調査結果(全体CVのうちの割合)

  • ファーム:18%
  • クリックフローディング:13.1%
  • インストールハイジャック:2.8%

調査概要:2018年1月1日~2018年12月31日の期間でSpiderAFが解析したデータを調査

 

大月:これは平均値なので、多いケースやタイミングによっては80%とか出たりもします。

そうしたアドフラウドは一体だれが行っているんですかね?

大月:メディアの運営側が行っていることが多いと想定はしていますが、実際はネットワークかもしれないですし、全部を把握はできていないのが現状です。あるメディアさんでは一つの広告枠をABテストしていて、Aだけ不正が発生するなんて例もありました。そのメディアさん自身も原因がわからず困ってましたね。

その際はどのように対処したんですか?

大月:不正クリックを作っているIPアドレスが2つしかなかったので、それらを除外して対処しました。

広告主様にはどのようなリスクがありますか?

橋本:貴重な広告費用を無駄にするだけでなく、KPIのノイズとなってキャンペーンの効果測定が正しくできなくなってしまいます。また、悪質な業者へのお金の流れを作ることで良質なメディアさんの収益減少、ネット広告の衰退を助長します。アドフラウドは業界全体にもリスクを与える大きな問題です。

では、どうやってアドフラウド対策をすればいいですか?

橋本:対策方法としては、まずは正しい知識を身に付けることだと思います。そもそも発見するには知識が必要なので。そのために、弊社でも定期的にアドフラウド勉強会の開催(第2回勉強会3月勉強会)や、調査レポートの発行をしています。私達の情報を公開して、少しでもみなさんに関心を持ってもらえたらと思っています。
次回の勉強会はこちら!

SpiderAFの活用で広告費〇万円の削減!?

次に、SpiderAFのサービスについて教えてください。

大月:私たちは「Building a Safer & Happier Future With Automation(自動化で幸せで安全な世の中を作ろう)」というビジョンを掲げ、アドフラウドの撲滅を通して世界の健全化に貢献したいと思っています。
SpiderAFはいただいたログデータを解析して流入元ごとに不審な傾向がないか、可視化、スコアリングしてアドフラウド判定ができるサービスです。同時に不正情報を各社でシェアする『SBL(Shared Black List)』というサービスも提供しています。元々サービスのアイデアはnendさんからいただいて、試しに作ってみたら効果が出て、nendさんでも使っていただけました。なので導入第一号はnendさんなんですよね!

当初からすごく活用させていただいてます!お客様から重宝されているのはどういった部分ですか?

大月:データの解析はマーケット分布との乖離をひとつの指標にしているんですが、端末やOSのマーケット分布を自社で調べるのは大変ですよね。そんなデータをダッシュボードで一目瞭然で見られるというのは、重宝されている部分のひとつだと思います。
時代の流れとしても、ビジュアライゼーション(可視化)やトランスペアレンシー(透明性)が重要視されていますよね。今までのアドフラウド対策では「これはアドフラウドです」とただ返されて詳細が不明なことも多かったのですが、「なぜアドフラウドなのか」というところまで分かるのは、メリットと感じていただけていますね。

弊社でもお客様に説明をする必要があるので、非常に助かっています。どのような企業が多く活用していますか?

大月:広告主企業とネットワーク事業者で半々くらいの割合です。広告主企業のうち8割がアプリ、2割がwebのお客様です。

橋本:ある広告主様では、SpiderAFを導入して、CV件数全体の約60%がアドフラウドと検知されました。結果として、単月で約600万円相当の広告費を削減できました。
企業によっては毎月2000万円もアドフラウドに払っていた事例もあったのですが、今のアドフラウドは一般のユーザーさんと変わらない動きをするので回収率などを見てもなかなか見抜けないというのが怖いところです。

アドフラウド被害の件数グラフ

本当に怖いですね…そうした被害に遭わないために、従来はCV数など数値だけを追っていればKPIを達成出来たかもしれませんがこれからはその数値の出所が確かなのか多面的な方法で検証する必要があると思います。

アドネットワークnendの対策

Phybbitからnendへ質問する画像

橋本:では、今度はPhybbitから質問していきます。nendさんとしてアドフラウドについてどうお考えですか?

 

– 最近だとネット広告は厳しい立場にあるので、広告主様が安心して広告を配信できるような環境を作っていかなければいけないと思っています。また、健全に運営をしているメディア様にきちんと収益をお返しするためにも、根絶していきたいですね。

橋本:そうですよね。具体的にはどのように対策していますか?

– 最近だと外部団体から提供されるリストを参照してブロッキング処置をしたり、一度不正と判断したサイト/アプリが再度登録されないようにチェックするシステムを社内で開発したりしています。
また、システムだけでなく社内で統一した基準に則って、専門のサポートチームが目視チェックによるきめ細かい対応をしています。発覚した不正の程度に応じて改善依頼、枠の停止、強制退会などの処置を行います。ただ、進化し続ける不正のジャッジは本当に難しいです。なので、常に情報収集をするようにしています。

nendのアドフラウド対策例

大月:閾値を決めると、対策されたりしますもんね。

– そうなんです。なので、そこはオープンにしにくいというのがあります。

大月:弊社でも「30CV以上を解析対象にする」としていたら、29CVで制御してこられたことがありました…(笑)ある意味、オープンにしないというのも対策と言えば対策なんですよね。

橋本:アドネットワークとして、どのようにSpiderAFを活用していますか?

– 月に1回、私ともう一人の担当者でダブルチェックで確認しています。あとは社内からも「このサイト怪しいんだけどどうかな?」なんて問合せがあったりするので、その都度SpiderAFでチェックして判断しています。

さいごに

アドフラウド対策のプロであるPhybbitさんから見て、nendの取り組みについてはいかがですか?

対談するPhybbit大月氏、橋本氏、nend松本氏

大月:nendさんはかなりしっかりされていると思います。弊社も勉強させてもらうことも多いので。いつもアドフラウド関連で話題に挙がってくるようなところにもnendさんは絶対いないですね。

 

業界全体をクリーンにしていきたいですね。そのためにSpiderAFは今後どんなことを目標にしていますか?

橋本:SpiderAFをツールとしてより強固なものにしていきたいです!なので、今後も改善点や新しい手法など出てくると思うんですけど、いち早く共有していただけるとありがたいです。

大月:さらに機能を増やして、精度を上げていきたいと思っています。また、勉強会やホワイトペーパーなどでの発信もどんどんしていきたいです。

橋本:nendさんはいかがですか?

最近はアドフラウドが認知されるようになってきて、どこの業者も「アドフラウド対策やってます」と言うんですけど、言ったもん勝ちみたいになってる所があって。ちゃんとどこまで対策できているのかを説明する必要があると思います。事前に具体的な対策内容を話すことで、広告主様にも安心して配信していただけると思っています。その上でnendを選択していただけるよう、nendではより一層アドフラウド撲滅に努めていきます。
また、SBLメンバー企業としてアドフラウドに立ち向かっていきたいとも思っています。お互いにノウハウや不正メディアのリストを共有し、業界全体で健全化していきたいです。

株式会社Phybbit CEO大月様とPR担当橋本様

以上、Phybbit様とnendの対談の様子をお送りいたしました!

普段からアドフラウド関連のやりとりや、勉強会などを通した交流も多いため、話が盛り上がり、予定していた時間を大幅にオーバーしてしまいましたが、改めてアドフラウド撲滅のための協力体制を確認できた良い機会となりました!

アドフラウドについて、今一度考えるきっかけになれば嬉しいです。ご不明点やご相談はお気軽にお寄せください!

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