SKAdNetworkとは?今知っておくべき基礎知識
※この記事はnend noteの記事をリライトした記事です。
アプリマーケターの皆さん、こんにちは!
アドネットワークnendのえばんじぇりすととーるです。
今回のテーマはAppleのSKAdNetwork(エスケー・アドネットワーク)についてです。
SKA(エスケーエー)、SKAD(エスケーアド)などの略称や、頭文字のSKAN(スキャン)という呼称でも耳にすることが増えましたが、一体どういったものなのでしょうか。
SKAdNetwork初心者の方にはこちらの記事もおすすめです!(【初心者向け】ポイント解説!SKAdNetworkまとめ)
SKAdNetworkとは
SKAdNetworkとは、AppleがiOS/iPadOS/tvOSのアプリデベロッパー向けに提供する、広告効果を計測するためのソリューションです。ユーザーの同意なしに端末を特定するデータを使用せず、プライバシー保護を重視したものとなっています。
Appleが発表したのは2018年ですが、当時はそれほど話題になりませんでした。では、なぜ今になって話題になっているのでしょうか。
その背景には、AppleがiOS‐14.5のアップデート時にアプリデベロッパーに向けて対応必須としたATT(AppTrackingTransparency)があります。
ATTフレームワークによって、ユーザーデータの取得はATTポップアップでオプトインしたユーザーのみに制限されました。つまり、端末が特定できる広告ID (IDFA)を使用した計測がユーザーの同意なしにできなくなったのです。そのため、この計測方法が注目され始めているというわけです。
Appleが今後もSKAdNetworkの開発に注力して、定期的なバージョンアップを行い、iOS/iPadOS/tvOSでの広告効果計測のシェアが増え続けるようであれば、SKAdNetworkもATTと同様に、対応必須の項目になるかもしれません。
SKAdNetworkの仕組み
では、どのようにして広告効果の計測が行われるのか見ていきましょう。
まず、広告配信ネットワークはキャンペーンを識別するため、署名付きのパラメータを広告に埋め込みます。その広告をユーザーがクリックし、アプリをインストールします。
そして、ユーザーがアプリを起動すると、コンバージョン(以下、CV)情報を送信するための24時間タイマーがスタートします。
このタイマーは、アプリ内に予め設定されたCVイベントをユーザーが経由する度にリセットされ、再びスタートします。そしてユーザーがそれらのイベントを経由する度に、数値が上昇する仕組みになっており、この数値をConversionValueと呼びます。
(イベントの設定やConversionValueのマッピングについては次の記事でご説明します。)
ユーザーがCVイベントを経由しない状態が24時間以上続くと、ConversionValueが更新されずにタイマーが切れます。タイマーが切れてからランダムなタイミングで(0~24時間以内)、ポストバックが1度だけ広告配信ネットワークに送られ、広告の効果計測ができる仕組みになっています。
もう少し具体的に例をあげて説明してみます。
チュートリアル完了後に課金ができるゲームアプリ『NEND QUEST』があるとします。
アドネットワークnendが『NEND QUEST』の広告をマンガアプリに配信しました。
すると以下のような流れで効果計測がされます。

―広告配信後―
・ユーザーAさんが広告をクリック
・表示されたApp Storeページから『NEND QUEST』をインストールして起動
・ConversionValueの値『0』が記録される
・24時間タイマーがスタート
―10分後―
・Aさんがチュートリアルを完了
・ConversionValueの値『1』が記録される
・10分動いていた24時間タイマーはリセット、再度スタート
―20分後―
・Aさんは1,200円の課金をする
・ConversionValueの値『2』が記録される
・20分動いていた24時間タイマーはリセット、再度スタート
・課金後しばらく遊んだAさんは、ゲームを閉じる
―24時間後―
・先ほど再スタートされた24時間タイマーは時間切れ
―〇時間後―
・nendにポストバックが返され、管理画面上にCVが計上される
※ポストバックはタイマーが切れてからランダムなタイミング (0~24時間) で送られてくる
この例ではインストールから10分後にチュートリアル完了、20分後に1,200円の課金、その後にConversionValueの値は上昇しなかったので、タイマーが切れた時間はインストールしてから24時間30分後になります。
そのため、nendがAppleからポストバックを得ることができるのは最短で24時間30分後、最長で48時間30分後ということになります。
この情報伝達のラグもユーザーを特定させないためのSKAdNetworkの大きな特徴のひとつと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はSKAdNetworkについて簡単にまとめてみました。
これまで、MMPを使った広告効果計測ツールでは、インストールや課金イベントが完了した瞬間にほぼリアルタイムで、CVポストバックがnendに送られてきました。
しかし、SKAdNetworkはプライバシー保護に重点を置いた広告効果計測ツールのため、情報の伝達にかなりのラグがあり、ポストバックする回数も1回のみとなっています。
そのため、SKAdNetworkを使った広告効果計測では、ユーザーの細かい行動情報をきちんとConversionValueに記録して、ポストバックまでのラグを考慮したイベント設定が重要になってきます。
この時に必要となってくるのがConversionValueのマッピングなのですが、次回このあたりのお話をわかりやすくご説明したいと思います。
それまで皆さんお元気で!