ノウハウ

2022/01/18

SKAdNetworkのコンバージョンバリューの仕組み、マッピングについて

※この記事はnend noteの記事をリライトした記事です。

 

アプリマーケターの皆さん、こんにちは!
アドネットワークnendのえばんじぇりすととーるです。

 

今回のテーマはSKAdNetworkで広告の効果計測をする際に必要となる「コンバージョンバリュー(ConversionValue)」についてです。
コンバージョンバリューの仕組みやマッピングまでわかりやすくご説明していきます。ここで言及するマッピングとは、特定の場所に首都や県庁所在地の記載がある地図のように、アプリのコンテンツを2次元の地図に見立てて、計測したいアプリ内イベントの場所を明確化することを意味します。これによりユーザーがどこを経由したのか把握できるようになるというわけです。
具体的には、アプリ内イベントにコンバージョンバリューを紐づけてしっかり計測できるようにしていく作業なのですが、アプリ内でのユーザー行動がポストバックに反映され、より詳細な分析が可能となります。

 

SKAdNetworkを更に深堀り、実戦的なことも交えて説明していきたいと思います。
それでは一気に行きましょう!レッツゴー!

SKAdNetworkでアプリ内行動の計測はできない?!

国内では当初、「SKAdNetworkを使う計測方法ではインストール後のイベント(リテンション、課金など)が計測できない」という誤った認識が一気に広がりました。

前回のゲームアプリの例で挙げた通り、「ポストバックがまとめて1回のみでタイムラグがある」という制限はありますが、SKAdNetworkでユーザーのインストール後の数値が取れない、というわけではありません。(SKAdNetworkの基本的な仕組みについてはこちら

アプリ内にコンバージョンバリューのマッピングを上手く設計すれば、より早い段階でポストバックを広告配信ネットワークに送ることも可能になります。
広告配信ネットワークはパフォーマンスに応じた入札単価を維持することができ、さらにデベロッパーはユーザープライバシーが強化された環境下で、ユーザーのアプリ内行動を把握できるようになります。
つまり、従来に近い形のアプリマーケティングとプライバシー保護とが両立できるというわけですね。

コンバージョンバリューについて

コンバージョンバリューの仕様は以下のようになっています。

  • 6ビット値(6-bit value): 6桁の2進数。イベントを0~63個まで設定できる。
  • 24時間タイマー(a rolling 24-hour period / timer):24時間のタイマー。ConversionValueが上昇する度にリフレッシュされる。このタイマーが切れると、その時のConversionValueが最終値としてアドネットワークにポストバックされる。
  • did-win:false (SKAdNetwork3.0以上) の時、ポストバックにConversionValue値は含まれない
  • "The postback only contains the final conversion value if sending the data meets Apple’s privacy threshold." (和訳:データがAppleのプライバシー閾値(いきち) を満たしたときに、CV最終値がポストバックに含まれる)

ここからは、コンバージョンバリューを活用する上で重要な「6ビット値(6-bit value)」について詳しく説明していきます。

6ビット値(6-bit value)とは

ビット(bit)とは2進数(一桁に入る数字は0か1のみ)の1桁を表すので、6ビット値(6-bit value)は6桁の2進数のことです。
SKAdNetworkでは、コンバージョンバリューの値を6桁の2進数で表します。
000000から111111までの64パターンあり、「000000」を0、「000001」を1、「000010」を2、「000011」を3…と整数に置き換えていくと0から63までとなります。

「000000」つまり0はインストール+起動で使われるので、1~63までの最大63イベントのユーザー行動を設定できるということになります。
6桁のうちの何桁をマッピングに使用するかで、設定できるイベント数が変わります。

ConversionValueの桁数とイベント数の表

どのようにマッピング設定するのか

コンバージョンバリューのマッピング

では実際にアプリ内課金の計測に活用する例を考えてみましょう。

コンバージョンバリュー(CV値)の桁数を6桁使えば63のイベントを設定できるので、例えば単純に$1ずつの課金をマッピングすると、以下のようになります。

 

・CV値0 = 無課金

・CV値1 = $1

・CV値2 = $2

 :

 :

・CV値63 = $63

 

あるいは、桁数を2桁だけ使い(CV値は0~3の4パターン)、アプリ内での課金額をセグメントで区切った形に設定することも可能です。

 

・CV値0 =無課金

・CV値1 =$1~$20

・CV値2 =$21~$40

・CV値3 =$41~over

 

この場合、余った4桁は他のKPIイベントに使用することができるので、さらに詳しい計測が可能となります。
例えば、アプリ内に他のユーザーとチームを組む機能があり、チームを組むユーザーは組まないユーザーと比べて〇倍のLTVの差があることがすでに把握できているとします。
そこで、チーム参加の有無をコンバージョンバリューでマッピングしてみましょう。

コンバージョンバリューの1桁目と2桁目はすでに課金計測に使っているので、3桁目を使います。チーム参加なしの場合は0、ありの場合は1として、課金計測と組み合わせると以下のようになります。

ConversionValueの設定例

課金額に加えて、チーム参加の有無もユーザー分析に活用することで、LTVの予測精度を上げるとができますよね。さらに、余っている桁をリテンションの計測に使って、初回起動から再起動までの時間を0日、1日、2日…と設定するのも良いでしょう。

しかし、ここで注意しなければいけないのが、24時間タイマーの存在です。

CV値が計上される前に24時間タイマーが切れてしまってはポストバックに反映されません。
そのため、起動してから24:00:00, 48:00:00, 72:00:00に達する前に、最低1つコンバージョンバリューが上昇するイベントをマッピングに組み込んで、タイマー切れを防ぐ必要があります。例えば起動回数や広告の表示回数などでコンバージョンバリューが繰り上がる仕組みにしても良いかもしれません。

 

このように、キーとなるKPIイベントを中心にコンバージョンバリューのマッピングを行うことで、CV値からpLTVを割り出し、そのpLTVを実質のLTVに近くなるように調整していくができるのです。

まとめ

SKAdNetworkについて、前回、今回と2回に渡って説明してきましたが、いかがでしたしょうか。

SKAdNetworkの正しい理解に近づいたと感じていただけていれば、私にとってそれ以上の喜びはありません。アプリマーケティングが変革の時を迎えている今この時に、ベターもしくはベストな判断をするきっかけになれば、とても嬉しい限りです。こうした小さな一歩一歩が、プライバシーマーケティングにおける欧米との大きなギャップを埋め、さらには彼らを凌駕する、そんな未来を実現するのではないでしょうか。

nendではSKAdNetwork計測での広告配信が可能ですので、是非一緒に新しい時代に合ったマーケティングを始めましょう。

SKAdNetwork初心者の方にはこちらの記事もおすすめですので、ぜひご覧ください!(【初心者向け】ポイント解説!SKAdNetworkまとめ

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